ストレンジな人びと

               作家 清野かほり

連載第15回

「男は子供」問題


 読者のみなさん、あけましておめでとうございます。今年もぜひ、生あたたかい目線で読んでやってください。

 さて、本題である。私には、ここ数ヵ月来の疑問があった。それは『なぜ男は油断するとチンチンを触ってしまうのか』だ。みなさんも、男性が何気に自分のモノを触っている場面に直面したことはないだろうか。

 小さな子供が心を落ち着かせるために無意識にチンチンを触ってしまう、という現象はなんとか理解できる。だがよく見ていると、中年のおじさんでも酔っぱらうと何気に自分のチンチンを触っていたりする。その行為をどう理解すればいいのか考えていたのだ。

 スナックで飲んでいて、ソファーに座ったまま友人がカラオケのマイクを握った。歌っている間、ずっと彼はチンチンを握っていた。歌い終わったあと、私は告げた。

「歌ってるとき、ずっとチンチン触ってたよ」

「あっそう」

 彼は小さな苦笑を返しただけだった。わざわざそれを教えた私に苦笑したのかも知れないし、自分の行為に苦笑したのかも知れない。だが、そんな短いリアクションしか返さなかったということは、わりと受け入れやすい事実だったということだろう。無意識に触っていたとしても、べつに驚くに値しない行為で、それは日常的なことなのだと理解した。私に指摘されることも、それほど違和感がなかったのだろうことも付け加えておく。

 念のために書いておくが、この場合[チンポジ直し]とは別物だということでご認識いただきたい。

 あるとき友人が言っていた。彼女は何かの本で読んだらしいのだが、その言葉に強い共感をもって教えてくれた。

『男を見たら小学生と思え!』

 そうだ、その通りだ。目の前の霧がさっと晴れていった。

 どんなに立派なスーツを着ていたって、どんなに顔にシワが寄ったって、男の人はみんな子供だ。そう考えれば、あらゆることに納得がいく。

 何かに夢中になりすぎることも、新幹線や飛行機で靴を脱ぐことも。お母さんやママやおかんが大好きなことも、記者会見で泣き喚いた野々村さんも。もちろん油断してチンチンを触ることもだ。

 すべての男は小学生。お兄さんもおじさんも、おじいちゃんも小学生。みんな精神年齢6歳から12歳。そう思えば大抵のことを許せもするし、ほとんどの失態をカワイイと思うこともできる、かも知れない。

 ふと、ぜひ見てみたい光景が思い浮かんだ。

 居酒屋の店内を見回したら、そこにいる男性の全員がチンチンを握っている。そんな眺めがあったら、実に壮観なのにな。