【最新刊】
公共図書館が消滅する日
薬師院仁志・薬師院はるみ (著)
国家百年の大計として模索すべきは、個々別々の公立図書館の生き残り策ではなく、知識や 文化や情報を尊重しながら、それを担う言論や出版の活性化を図り、さらには知る権利や学習 機会を万人平等に保障する公的制度の実現に他ならない。そのためには、広く一般公衆の利用 に開かれた図書館が不可欠なのである。だからこそ、どこの先進国にも─ それぞれに応じた 制度形態の下─ 公共の図書館が設置されているのだ。今日の日本において、公共の利用に供 する図書館の灯を守ることは、絵に描いた餅を飾ることでもなければ、個別具体的な生き残り 策を叫び合うことでもない。これまでの経緯を正確に跡づけた上で、眼前の事態を歴史的な全体像の中で把握し、真に向かうべき先を直視しなければならないのである。さもなければ、「あ の手この手とアイデアを模索して生き残りにかける全国の図書館」は、やがて行き詰まり、消 滅する日を迎えることになるだろう。
いま、公共図書館の真の目的と存在意義が失われようとしています。
公共に開かれた図書館を持たない先進国など一つもありません。
しかし、現在日本ではその姿が大きく変貌してきています。
戦後の占領軍指導の設立過程から近来の混迷状況にいたる過程をつぶさに描き、図書館問題の本質を論じます。
ISBN-10: 4895002292
ISBN-13: 978-4895002295
本体価格:2700円+税
単行本: 437ページ
著者
薬師院仁志
(やくしいん・ひとし)
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程(教育社会学)中退。京都大学教育学
部助手、帝塚山学院大学文学部専任講師等を経て、現在、同大学教授 ( 社会学 )、 大阪市政調査会理事、レンヌ第二大学レンヌ日本文化研究センター副所長。
著書に、『禁断の思考:社会学という非常識な世界』(八千代出版、1999)、『日本とフランス二つの民主主義:不平等か、不自由か』(光文社、2006)、『民主主義という錯覚:日本人の誤解を正そう』(PHP研究所、2008)、『社会主義の誤解を解く』(光文社、2011)、『日本語の宿命:なぜ日本人は社会科学を理解できないのか』(光文社、2012)、『「文明の衝突」はなぜ起きたのか:対立の煽動がテロの連鎖を
生む』(晶文社、2017)、『ポピュリズム:世界を覆い尽くす「魔物」の正体』(新潮社、2017)などがある。
薬師院はるみ
(やくしいん・はるみ)
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程(図書館情報学)研究指導認定退学。金城学院大学文学部専任講師等を経て、現在、同大学教授(図書館情報学)。
著書に、『図書館・図書館研究を考える』(共著、川崎良孝編、京都大学図書館情報学研究会、2001)、『図書館情報専門職のあり方とその養成』(共著、日本図書館情報学会研究委員会編、勉誠出版、2006)、『名古屋市の1区1館計画がたどった道:図書館先進地の誕生とその後』(八千代出版、2012)、『図書館制度・経営論』(共著、
安藤友張編、ミネルヴァ書房、2013)、『フランスの公務員制度と官製不安定雇用:図書館職を中心に』(公人の友社、2019)などがある。
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